此の頁は、コーンスネークの飼育技術手引みたいなものです。
コーンスネーク(Pantherophis guttatus)は、ナミヘビの中でも、極めて飼育が容易な部類であるとされます。筆者自身、それを否定するつもりはありませんが、飼育が容易であるという表現の意味するところは、ナミヘビ、ボア、パイソンを含めた蛇全体の飼育という総体的な観点から見た時に、最も簡単な部類に属するということであり、誰にでも出来るということを意味するわけではないと考えています。
この世の中に、誰にでも出来るなどと保証されることは、何一つ存在しようがない事は云う迄もないことですが、とはいえ、其れを押して比喩としてでしょうが、"誰にでも飼育が可能である"と表現されることすらあるほどに、本種の場合、飼育に際して習得すべき技術と知識のハードルが迚も低いところにあるのは確かです。
そのハードルの低さ� ��支えているのは、ハープタイルホビーの中でも筆頭と言ってよいぐらいの長い歴史と、飼育人口の多さから来る厖大な記録、それをベースにして交わされた議論と検証といった、ナミヘビの中でも群を抜いて蓄積された背景に他なりません。
単純な技術的蓄積だけではなく、血統の積み重ねによる蓄積――飼育下での繁殖を何代も繰り替えされた世代交代の末にあるCB(飼育下繁殖個体)は、馴致され人間の用意する飼育環境に適応した性質を受け継ぐものを多く輩出するように調整されており、結果、本来、WC(野生捕獲個体)であれば当然のように必要とされる飼育に際しての気配りや、環境や温度要求といった環境的要素の幾つかを省いた状況、つまり簡素にして簡易な環境で飼育することが可能となっているのです。
それ故に、確かに、現在のコーンスネークのCBに限れば、その飼育の知識と技術は、おそらく生物飼育の素養がない人でも熱意を持って習得しようと努めれば、時間を還元することで大抵は可能になるのではないかと思います。
此の頁は、蛇飼育のいろはを知らない人が読む事を想定して書いてみようと思っています。既に飼っている、飼った事がある、という人にはやや退屈な文章になってしまっているかもしれませんが、そういう場合は適宜読み飛ばすなり斜め読みするなり読まないなりしてみて下さい。
必要道具
先ず、コーンスネークを飼育する上で必須と思われるもの、あると便利なものを列挙して行きます。上の方にあるものほど、重要性が高い、と解釈してよいかと思います。
◇冷蔵庫
個人的には、一番必要かなという気がします。マウスを常時繁殖させて餌にする、という人以外は、冷凍マウスを使うでしょうから、専用冷凍庫は必須ではないでしょうか。購入は新生活応援フェアが各家電量販店で催される二月〜三月、それが終わった後の在庫払いがある四月が狙い目ですが、新製品が投入される前の年末商戦などでも在庫一掃が行われることもあるので、十二月あたりも見逃せません。店によって売り時が全然違うので、その辺りの見極めが大切です。
個人的に食品と一緒に冷凍庫に入れるのは、喩えタッパーウ� ��アやロック式のケースに入れ子にしたとしても、遠慮したいところです。管理人自身は生物好きではありますが、そういう風に一緒に入った冷凍庫のものを食べたいとは思いませんし、正直なところ無理です。此は、管理人が神経質すぎるということもあるかもですが、普通の人ならば猶のこと、冷蔵庫に一緒に食品を入れたくないと思ったとして無理からぬことではないでしょうか。清潔かそうでないかは別の問題でして、これはダメな人には本当にダメなので、家族や同居人の事を慮って、専用のものを購入しましょう。理屈としては、そうですね、ペットのお皿は、洗ったら清潔だから自分が使っても平気か?という問題に似ているのではないでしょうか。結論は個々人の自由だと思いますが、たとえとして管理人は厭だし、清潔� �からという理由で遊びに行った時にそんな食器使われたら帰ります(そんな人がいるのかどうかは知りませんが)。
冷凍マウスは一ヶ月から、最長でも二ヶ月で使い切る量が理想的とされています。正確なところは管理人は知らないですが、管理人自身はどうかというと、なるべく一ヶ月以内に消費するように努めています。長くても二ヶ月以上保存するということは無いのではないかと。ですから、飼育を始めるにあたり必要とされるサイズは小さいものになるでしょう。そうなると、自然、直冷式のものになると思います。正直なところ、筆者は直冷式の冷蔵庫は好みではないのですが、誰もが大量のマウスをストックする訳でもないので、飼育規模に合わせると、小さいものになるのは致し方ないところです。安価なもので� �いかと思いますが、但し、どんなものを選ぶにしろ、自動霜取り機能がオフに出来るものを購入したほうがよいです。自動霜取り機能がついていると、つまるところ定期的に冷蔵庫の中の温度があがってしまうわけで、冷凍マウスの保存の観点からあまり宜しくないという話があります。手間ではありますが、定期的にマウスを使い切るようにして、その時に手動で霜取りをするようにしましょう。
余談としては、筆者は冷凍マウスを通販で購入しているわけですが、やはりクール便と雖も、多少溶けて到着する感があります。そういう場合、「急速冷凍(急冷)」機能があると、到着したものを速やかに冷凍出来て、よいのではないか、と思っているのですが、購入したマウスは一ヶ月ぐらいで全て使い切っているので、そこまで� ��を遣わなくても良いのかもしれません。
◇空調設備若しくは冷温室
或る意味、冷蔵庫よりも遥かに重要です。冷蔵庫は定期的にショップに買いに行くという荒技で乗り切る事が出来なくはないですが、こちらは乗り切る方法がありません。
温度調節が可能であることは、四季折々のある日本の何処に居を構えていたとしても絶対条件と言えましょう。寒いところならば冷却設備は要らないでしょうが、暖房設備が必要ですし、逆もまた然りです。
エアコン、若しくは最低限でもガラス温室は必要です。冬には温かく、夏には涼しくする為に、冬にはヒーターを、夏にはクーラーを用います。
冬季には最低気温を21-22℃以上、夏季には最高気温を28℃以下に維持出来る環境です。重要なのは、フィルムヒー ターなどの接触面の温度が上記の温度なのではなく、ケースに満ちている空気の温度が上記の、乃ち(21-28℃)範囲であるようにしなくてはならない、ということです。幾ら地面が温かくても、空気が寒ければ風邪を引いてしまいます。
ホットカーペットの温度が30℃だったとしても、部屋の温度が5℃の状況で掛け布団がなかったら人間は普通風邪をひきます。それと同じことと考えれば分かり易いでしょうか。
エアコンを使えば、春と秋の切り替え時期を別にすれば、困る事は殆どないでしょう。
温室を用いる場合、飼育ケースを入れ子にして使う訳ですが、冬には優れていますが夏には意味がありません。真夏日でも室温が一日を通じて28℃を超える事がないという土地柄ならば話は別ですが、そうでないならば甲虫� ��洋蘭飼育に用いられる冷却能力のある温室(アミールなど)が便利かと思います。ただ、中々に高価なので、夏場だけはエアコンで管理してしまう、というのが個人的にはよいのではないかと思います。
温室には温室ヒーターとサーモスタット、それから忘れてはならないものとして、ファンを設置します。ファンは成る可く静かなものがよく、空気の循環用として用います。神経質な個体では、ファンの音に怯えてしまうこともあるので、餌食いが安定しない時などはファンを止めるか、ファンから離れた場所にケースを移動するなりするとよいでしょう。それから、風は絶対にケースに直接当たらないようにします。ケースに当たればそこだけ温度が下がったり上がったりしてしまうし、通気口に当たっていると常に風が流れる 事になり乾燥し過ぎてしまう危険性があるからです。
もう一つの方法としては、大きなガラス水槽を用いて、プレートヒーターに加え、昼間はバスキングライトを、夜は保温球を使うという方法があります。テラリウムで飼育するということです。ただ、此は外気温があまりにも低い場合は空気全体を上げられないので、やはり冬場は或る程度の空調管理が欠かせなくなります。
水槽テラリウムを金属ラックなどに収め、金属ラック全体に自作のビニールカバーをして、簡易温室を作るという手もありますが。この場合は、保温は温室用のヒーターを使うとよいでしょう。此の方式のメリットは、ケースに水槽を使い綺麗にレイアウトすることで、動物園や水族館さながらのインテリア的な楽しみ方が出来るという事です。個� ��的には、水槽で飼育しつつ、エアコンで温度管理をするのが、一番楽しい飼育の仕方だと思っています。
◇ピンセット
竹製、ステンレス製などありますが、煮沸消毒するならばどちらでもよいでしょう。管理人は煮沸が面倒で、加熱消毒するタイプなので、ステンレス製を使っています。ただ、先があまりにも尖ったものは、蛇がアタックしてきたときに逆に蛇に怪我をさせてしまいかねないので、先は丸くなっているものがよいでしょう。
◇飼育ケース
プラスティック・ケース、水槽型テラリウム、コンテナ、衣装ケース、アクリルケースなど様々です。要諦は脱走されないことであり、此を満たすならばどんなものでも問題はありません。そう言えば、昔は木製の箱で、ステンレスの網を張って通気口及� ��観察窓としていたりとか、そういうのを使っていた事もあったようですね。現在でも、大型のボア、パイソンにはそうしたケースが用いられる例もあるようですが、此処では150cm程度のヘビでありますので、そうしたケースを用いる意味は殆どないでしょう。
一般的なのはプラケと呼ばれるプラスティック・ケースでしょう。幾つかのメーカーから出ていますが、窓が填め込み式ではなくスライド式になっているNISSOの製品を推奨します。填め込み式は蓋の閉め忘れはもとより、開けられるということをヘビが覚えると、鼻先を押し当てて開けてしまう事があること、開かない場合でも、ヘビがそれを試みようとするあまりに鼻先に怪我を負う危険性があるからです。とはいえ、CB個体の場合は、そうした試みは殆どしないかと思い� ��すが。
◇空調、或いは温室、保温器具、ファン
空調(エアコン)或いは温室は必ず必要です。特に外気温が10度を切るような環境で飼育する場合、プレートヒーターでは何の訳にも立ちません。基本的には空中温度が20度以上在るべきで、触ってケースのシェルターの内部が温かいなら大丈夫、ということは絶対にありません。気温が数度の時に炬燵さえあれば健康的に生きていけるかと云えば、そんなのはあっさり風邪をひくでしょう。
空調で部屋まるごと温度管理をするか、温室用ヒーターとファンを使い温度管理をしたガラス温室の中に、飼育ケースを入れ子にするか、でしょう。
もう一つは、大きな水槽を用いて、プレートヒーターに加え、昼間はバスキングライトを、夜は保温球を使うという手はあ� �ます。ただ、此は外気温があまりにも低い場合は空気全体を上げられないので、あまり推奨は出来ません。
そういう場合は、水槽テラリウムを金属ラックなどに収め、金属ラック全体に自作のビニールカバーをして、簡易温室を作るという手もあります。保温は温室用のヒーターを使うとよいでしょう。
◇水入れ
ヘビというのは、かなり水を飲みます。水分が足りないのに餌をやれば、消化液が作れないので吐き戻しますし、無理に消化しようとして心不全になることもあるそうです。水は常に綺麗なものがあることが望ましく、最低でも二日から三日で必ず容器を洗って交換するようにしましょう。
理屈としては、コップを用意し、そこに水を張り、その状態でテーブルの上に置いておいて、いつまで飲む気が するか?という問題だと思います。数時間後なら飲めますし、翌日でも、まぁ飲めなくもないでしょうが、二日たったら、管理人などはもう飲みたくない気がします。
水は、別段浄水である必要性はありません。というか、浄水の方が、実のところ早く悪くなってしまうんですよね………不味いのは確かですが、塩素水でも心持ち長持ちするというメリットはあるんですよね。まぁ、そういう水を飲むとダメージを受けてしまうデリケートなヘビもいるのですが、コーンスネークは問題ないようです。
それから、水入れには水浴びの場所という意味も多少あります。コーンスネークでは、脱皮前などにたまに水入れに入っている様子が確認出来ます。とはいえ、脱皮前に水入れに入らなければ脱皮不全になるということは、殆ど 起こりえません。例外は、冬季にエアコンを使っている場合などで、日本の冬の湿度不足とエアコン使用による湿度低下が重なると、極度に湿度不足になり、そういう時に幼体などでは有り得るかもしれません(成体は冬眠しているのでこの限りでない事が多いです)。脱皮不全に関しては詳しくは後述します。
そうした観点から、全身が入る程度の水入れが望ましいとも言えますが、成体になれば脱皮不全にもなりづらくなるので、成長に従い、躰に対する比率としては小さくなっても問題はないようです。
但し、小さすぎると、ケースの中でひっくり返されてしまう事があり、非常に疲れるので、ひっくり返されない重さ(水の重量でひっくり返せないのでも構いません)のものを用います。CB個体が主流であるコーンスネ� ��クにあっては、熱湯消毒はさほど重要なファクターではないので、タッパーウェアなども使えます。
個人的には陶器製のものが好みなのですが、陶器製のものというか、蓋が出来ないタイプの水入れは、引出式ケースに入れておくと移動時に水が零れることになり、これまた面倒です。お奨めなのは床材を吸湿可能な素材にすることですが、必ずしもそれが可能なわけでもないので、タッパーウェアのように蓋がある容器の蓋に、円切りカッターで丸い穴をあけるとよいでしょう。穴の直径は6cmもあれば問題はありません。
この形にしておくと、振動で水が撥ねても、零れる事が少なくなるので、乾燥系床材を使う場合は有用です。テラリウム飼育をする場合は、見栄えの観点から、岩を模して作られたものや、テラコッタの� ��木鉢の底に栓をしたものなどがお薦めです。意外に使えるのが、陶磁器で、小鉢などにはテラリウムに配置しても違和感のないものが少なくないです。それから、ビオトープ用として販売されている陶磁器なども見栄えが良く、使えるかと思います。
◇床材
新聞紙、クッキングペーパー、ウッドシェイブ、ウッドチップ、パームピート、赤玉土といった土などが使えます。それぞれの床材に一長一短があります。どのような方向性で飼育するかでも異なって来ます。
・新聞紙、クッキングペーパー
コストパフォーマンスがよいという話があるのですが、どうでしょう……まぁ、新聞を読む家庭の場合はそうかもしれませんが……
床材を一度に全部交換出来るので清潔さという観点からは優れているのかも� �れません。ただ、どうもインク特有の匂いが好きになれないし、そもそも新聞紙をケースの数だけ折る作業が億劫なので使わなくなってしまいました。
・ウッドチップ、ウッドシェイブ
科学者たちはガラスIAが言うの液体または固体の?
管理人自身が主に使うのはウッドチップとパームピートです。それぞれ使い方に癖がありますが、数多く管理するには便利なので、管理人は愛用しています。ただし、ウッドシェイブ(アスペンの大地などの商品名で販売されているもの)は、販売される状態では埃っぽさが抜けないので、衣装ケースなどに一端だし、掃除機で埃を吸い込みながら揉み解してから使うとよいでしょう。
此の床材を使う際に最も注意しなくてはならないのは、濡れたマウスを与えるとマウスの躰に細かく付着してしまい、これを蛇が飲み込んでしまうということです。数枚なら問題ないのですが、沢山のウッドチップが口に入ったままになると、マウスロット になるそうです。なるそうです、というのは、筆者はそういう経験がないからなのですが。マウスを解凍する際にちゃんと表面を拭いておけば、こうした事態は避けられます。
・パームピート、赤玉土
パームピートは、基本的に湿らせた状態で使います。乾燥状態では埃っぽくなり舞うようになり、見た目も宜しくないですし使い勝手も微妙になるので、定期的に霧吹きをする必要が出てきます。また、通気性が悪いとカビが生えたりもするので、使うにあたって多少のノウハウを必要としますが、コストパフォーマンスや、脱皮前にはパームピート自体を湿らせる事で湿度調節が簡単に出来ること、ウッドチップに比べて置き餌をする際に心配をあまりしなくてすむなど、長所は多いです。燃える塵として廃棄出来るところ� �高ポイントでしょう。
テラリウム飼育の場合は、基本的にはこのあたりの床材を用います。砂漠を模すならば赤玉土がよいでしょう。赤玉土はケースに敷き詰め、一度全体に霧吹きをしたり水を十分に含ませてから乾燥させることで、埃があまり立たなくなります。普段は乾燥状態で使い、脱皮前だけ濡らすという使い方が可能です。最大のデメリットは、基本的に土であり不燃性なので、ゴミとなった場合に扱いが面倒なことです。
◇ハイドボックス(或いはシェルター)
水苔を入れた容器、或いは植木鉢や木箱、或いは用途専用に製造されたものなど、様々です。コーンスネークでは必ずしも必要な訳ではないですが、餌付けや、餌を食べなくなった個体などには必要とされることもあるので、幾つか用意してお� �とよいかと思います。水苔などを入れて湿度保持機能を持たせたものをウェットシェルター、ただ隠れられるようになっているだけのものをドライシェルターと呼ぶ事もあります。
上に水を入れると内部の湿度を保ってくれるウェットシェルターという製品があり、これは水を入れなければドライシェルターとして使えるということでもあるので、中々便利ですが、水を入れる場合、定期的に洗わないとカビてしまうので注意が必要です。
◇フィルムヒーター
正直なところ、無くても飼育出来ます。というか、殆ど管理人は使っていません。蛇の飼育では空気を暖める事が重要で、局所的に地面を暖める事は、必須要件ではないからです。但し、必ずしも無意味という事もなく、例えば自然下で日光浴をする蛇などは� �バスキングライトに当たりに来ます。その代替え手段として、フィルムヒーターは或る程度の効能を期待出来るでしょう。
◇最低最高温度計
最低最高温度計とは、計測を始めてから最高の温度と、最低の温度の両方を記録しておく機能を備えた温度計です。電子式のものでなく、バイメタル式のものも存在します。どちらの方式でも構いませんので、必ず、最高最低温度計を購入しましょう。昼間の温度が適温でも、夜間がそうである保証はなく、夜チェック出来るとも限らないのですから。
また、温度を測る場所は、フィルムヒーターの直上ではなく、空気の温度、ケースの上あたりの温度がよいかと思われます。
◇フィルムヒーター
正直なところ、無くても飼育出来ます。というか、殆ど管理人は使 っていません。蛇の飼育では空気を暖める事が重要で、局所的に地面を暖める事は、必須要件ではないからです。但し、必ずしも無意味という事もなく、例えば自然下で日光浴をする蛇などは、バスキングライトに当たりに来ます。その代替え手段として、フィルムヒーターは或る程度の効能を期待出来るでしょう。
蛇の飼育にはケース内部にある程度の温度勾配があったほうが望ましいですし、また、昼夜温度差を設定することもフィルムヒーターを用いることで容易になります。
熱伝導の関係から、どうしても下にあるケースのほうが冷えやすい場合、暖める効果までは期待出来ないにしても、失われる温度を相殺する手助けぐらいにはなります。
常に使うかどうかは別にして、一枚か二枚ほどあるとよいでしょう。� ��タリ適温、ナラベルト、スーパー1など様々な製品があり、それぞれに一長一短があります。例えば、ピタリ適温やナラベルトはプラケのように"足"のあるケースの場合、下に敷いても効果が殆ど期待出来ません。ケースに触れる状態を作るとよいのですが、ただし、あまり圧力がかかる状況も好ましくないようなので、調整が難しいところです。スーパー1は逆に蛇に使うにはやや温度が高くなりすぎるきらいがありますが、耐久性などが優れています。
いずれの製品にしろ(ナラベルトは有り得ませんが)、ケースの全面ではなく、一部に敷くようにすることが基本的な使用方法です。
また、幼体の飼育に際してはあると安全性が高まるので便利かと思います。
◇餌
・マウス
コーンスネークの場合、� �ウスだけを与え続け、累代繁殖まで持っていく事が可能であるようです。自然下で齧歯類を主に食している蛇はだいたいそうです。当然ながら、そうでない蛇はマウスだけでは飼育出来ません。例えば、爬虫類食いや両棲類食い、或いはミミズ食いのヘビにマウスを与えても、消化不良を起こして死ぬだけです(そもそも自然な手段であれば食べません)。自然下で魚を食べている蛇などの中には、もともと多彩な食生活を送っているのか、マウスに切り替えても問題なく飼育出来る蛇も少なくないのですが、それは此処に書く話題とは少しずれていますので割愛します。なんにしろ、コーンスネークの場合は、マウスだけで飼育し、繁殖させることまでが可能になっていて、そこのところだけ覚えておけばよいでしょう。
コーンス� ��ークの餌は、マウスだけでよい、という事実から、マウスは完全栄養食である、というような表現が為される事があります。
完全栄養食という言葉自体の説明をすると長くなるのですが、此の言い方には語弊が生じやすいですし、完全という言葉をわざわざ附ける程の事でもないので、その言い方は覚えなくてよいでしょう。
マウスを餌とすれば、コーンスネークの場合は、過去の歴史的経緯を鑑みて、ハツカネズミのみを与える事で寿命まで飼養し、かつ累代が可能であるということが確かめられているというだけの話です。
マウスには冷凍処理がなされた冷凍マウスというものが販売されており、コーンスネークは簡単に此に餌付きます。ただし、冷凍された状態であっても、特にビタミンが時間経過と共に自壊し� �すく、また蛋白質も変性しやすいので、冷凍された状態から長くても一ヶ月か二ヶ月で消費するようにしましょう。
冷凍に対して分かり易いようにでしょう、生きた状態のものという意味で活を頭に付け、活マウスとした場合は、生きた状態のマウスということです。此も餌用として販売されており、自分で繁殖をさせて、それを餌として与える事も出来ます。コストパフォーマンスとしては、自分で殖やした方が実はよいのですが、それなりに大変なのと、匂いに悩まされるかもしれません。詳しくは、餌図鑑を参照してください。
飼育の基礎概念
様々な歴史的背景が折り重なったその末に、コーンスネークの場合は飼育が容易になったということは既に述べましたが、幾ら容易になったとはいえ、それでも猶、幾つかの押さえるべき基礎は残っています。
管理人に思いつく、それら基本的な要素を大雑把に纏めると、温度、湿度、生態、そして此らを包括する年間サイクルの四つではないかと思います。
年間サイクルに温度と湿度が関連するのは、日本の何処の地方であれ、湿度も温度も年間一定であるという場所はないからです。ある季節には湿度管理が大切で、別の季節には湿度はそれほど気にしなくてもよいけれど温度は気にしなくてはならなくなるかもしれない。季節によって必要とされる要素が変わってくるということです。真夏の飼育方法として正しい� ��のそのままに冬を迎えて、問題が生じない理屈はありません。簡単に言えば夏にはクーラーが必要だし、冬にはヒーターが必要だという事です。
加えると、日本の冬は湿度が下がります。暖房を使えば尚更で、此が、冬眠させない場合の蛇の飼育では湿度不足から脱皮不全の要因になります。特に、幼蛇では容易に脱皮不全になるので注意が必要になります。
此処では、始めて飼育する人向けということを考慮し、幼蛇を七月から八月に入手したと考えて行こうと思います。飼育の方向性として幾つかのスタイルを後述しますが、まずは始めて見るところから書いて行きます。
飼育開始(七月から八月)
七月から八月、としたのは、一般的にコーンスネークの卵が孵化して幼蛇が輸入される、或いは出回るのがこの頃からだからです。入手したのが四月であろうと十月であろうと、行う事に何ら変化はないので、購入したいと思ったときに購入するので構いません。当たり前の話ですが。ただ、夏季や冬季などの極端な気温になっている季節の場合は、輸送時に極端な環境に置かないように注意すべきでしょうが。
七月から出回るものは、主にアメリカから輸入されたものである事が多いように思います。国内繁殖のものは、八月下旬から九月ぐらいから販売されることが多いようです。
コーンスネークの幼蛇は、デリカップか、袋に入った状態で入手することになるでしょう。袋というのは、麻などで作られた布袋で、ヘ� ��は暗く、肌が密接する場所の方が安心出来るので、大きいヘビであればあるほど、デリカップよりも布袋に入れた方がヘビにストレスが掛かりません。とはいえ、幼蛇に使う布袋は自作しなくてはならないこと、ウッドシェイブやティッシュペーパーなどをふわりと入れておくと、それがクッションになること、なにより幼蛇は小さいので重さが軽く、移動時に受ける衝撃が少ないため事故が起こりにくいことから、デリカップであっても問題はありません。現在の主流は、幼蛇の場合はデリカップでしょう。
予め、一日前からケースはセットしておきます。寒い廊下に出しておいたケースを部屋に入れてセットし、まだ冷たいところにヘビを入れるなどというのは止めた方が無難です。水だけは、当日用意しますが、水が冬場な� ��は、或る程度湯で割って暖めるなりし、外気温と同じ程度の、25℃あたりにしておくのがよいでしょう。受け取りに行く出掛け、家に来る予定の当日早朝に、水を入れておくのが一番簡単かもしれません。
床材に新聞紙を使う場合は、シェルターと、水苔を入れたタッパーウェアも一緒に入れておくのがよいです。水苔は一端水の中でよくほぐし、揉み、取り出した後にぎゅっと絞って水が絞れなくなるようにしたものを使います。握力がリンゴを片手で握り潰せるぜ、というようなファイターは手加減してください。ウッドシェイブを使う場合は、水苔タッパーは必要の限りではないですが、その代わりにウェットシェルターを入れます。ウェットシェルターがないなら、水苔タッパーを入れておきましょう。
フィルムヒー ターが覆う面積は、ケース底面積全体の三分の一以下にします。ケース全体が高熱になると蛇がえらいことになります。サウナで人間は生活できません。
水入れやウェットシェルターは、ヒーターの上に配置するとあっという間に乾燥してしまうので、フィルムヒーターのあるところには置かないようにします。普通のシェルターの方は、ヒーターの上に置くので構いませんが、結局中が暑くなりすぎてあまり入らない気がします。ヒーターの近くではあるけれど直上ではない、或いは端っこのちょびっとがヒーターの上、あたりが落とし処ではないでしょうか。此のあたりは気温にも左右されるので、一概には云えないのですが。
ケースの内部温度は24〜26℃、フィルムヒーターが触れている底面部が28〜32℃程度が目安だと� �います。もっと高い温度がよいのでは、という意見もあるでしょうが、此処は管理人が遣っている方式の説明ですし、管理人は此の程度の温度が管理しやすいので、此の温度を採用しています。
ケースにヘビを移動する方法は、デリカップの蓋なりを開けて放置し、そこから勝手に出るのを待ってもよいですし、取り出してそっとケースに放してやるのでも構いません。やっては行けないのは、ヘビを摘む、掴む、という動作です。すくい上げ、手の上に"乗せる"感覚で扱います。
移動したら、三日間ぐらいは放置です。コーンスネークならば、即日餌遣りをしても問題ないとも云われます。確かにそうかなぁという気がしなくもないのですが、管理人は二日か三日は放っておくことにしています。此の三日間から、四日間 ぐらいは、移動した先の環境に慣れて貰う為の準備期間になります。なので、自室で飼育し、常に人がいるような場合には、新聞紙などでケースを覆ったり、段ボールで衝立などをして、見えないようにしてやるとよいでしょう。環境に慣れて来てから、覆いを外して行けばよいだけのことなので。
触らない、見ないを基本として数日が過ぎたら、愈々餌遣りです。餌はマウスを用います。幼蛇の場合、毛の生えていない、ピンクマウスと呼ばれるものを使う事になります。此の冷凍マウスが販売されているからこそ、ヘビ飼育の戸口が随分と広くなったと言えましょう。此が扱えないと、ヘビの飼育は事実上不可能かと思います(ソーセージのようなものが販売されていますが、成蛇はともかく、あれで幼蛇を育て上げられるのか どうかを管理人は知りません。理屈上問題ないような気がしなくもないのですが、実践したことがないので分からないと書く逃げの戦法で。成蛇は問題なく飼育できるって聞いているのですけれど)
マウスの解凍方法には、色々なものがあります。専用の電子レンジを使って解凍する人もいますし、40〜50℃程度のお湯を使い解凍する人もいます。他には、熱帯魚用の蛍光灯の上に並べて解凍するという方法もあるようです。ステーキ肉などを解凍するのに使うアルミ製の解凍プレートを併用するという手法もあります。数が10以下ならば、解凍プレートはかなり有効な製品です。蛍光灯の上に並べて解凍する際の注意点は、何も敷かないでいると溶かす過程で結露した水分が蛍光灯に零れショートする危険があるので、必ず熱伝導率 の高い金属トレイなりなんなりに乗せて解凍するようにすることと、解凍が過ぎても乗せたままにしておくと、あっという間に暖まりすぎて変質、或いは劣化してしまうということでしょう。
お湯で解凍する場合は、暖めすぎに注意しなくてはなりません。ピンクマウスの場合、簡単に中まで解凍されてしまうので、40℃程度の温度のところに入れるのがよいでしょう。温度が高すぎると蛋白質が熱変性を起こしてしまいます。また、お湯に直接入れるとマウスが濡れてしまうので、拭く作業が必要になってきます。水に直接入れないにしても、それなりに与える前に拭いた方がよいことに代わりはないのですが。
何れにしろ、中までしっかりと解凍されることが求められます。もしも中まで解凍されていないものをヘビに与� �てしまうと、消化不良を起こし、吐き戻してしまいます。特に幼蛇時期の吐き戻しは致命的に成りやすいので注意が必要です。吐き戻しや拒食に関しては、トラブル編で触れていますので、そちらを参照してください。
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指で持った時に、中の方に冷たさがあるようではいけませんが、暖かさを感じるようでは暖めすぎです。だいたい30℃前後が理想的だと思います。この辺りは、色々溶かしてみて、どういう状況でどれぐらいで中まで確実に溶けるのかを把握してみることが大切でしょう。
コーンスネークの場合、ピンセットでそっと顔先に持っていってやれば食べることが多いです。シェルターの中に入っている場合は、シェルターの入り口に、少しだけ中に差し入れるように持っていってやって、暫く待っていると、くぃ、と食い付いて中に引っ張り込むので、そうなったらピンセットを手放し、飲み込むに任せます。
ウッドシェイブやウッドチップを使っている場合、マウス と一緒にチップなどを飲み込んでしまわないように心を砕くようにします。マウスをちゃんと拭いていれば其程くっつかないですが、くっついてしまったら、ヘビがぐいぐいと飲み込んでいる間に、そっとピンセットで表面に張り付いたチップや屑を取り除いてやります。もしも飲み込んでしまった場合、口内に残っていないようなら消化してしまうようなので、そこまで心配はいりません。問題なのは滅多にないですが、半分口から出ているような状態の時で、こういう場合は、チップに水を含ませてやってほっておくか(健康な個体なら自分でなんとかします)、気になるなら、テレホンカードなどを口にそっと差し入れて、牙を傷つけないように気を付けつつ取り除いてやります。とはいえ、いままで、そんな風になったことは数え� ��ほどもないですが、それでもやはり、こういう観点から考えると、チップは蛇の飼育にある程度慣れてから使い始めるのが良いのかもしれません。
餌に食い付かない場合は、シェルターの前か何かにそっと置いておきます。フィルムヒーターの直上だとすぐにマウスがダメになってしまうので、フィルムヒーターのない場所に設置することだけ注意し、朝やったなら帰宅後の夕方に、夜にやったなら翌朝に、食べてなければ取り除き、食べるまで気長に繰り返します。どうしても食べないなぁという場合は、拒食のコーナーを参照下さい。
餌のサイズは、だいたいヘビの頭のサイズよりちょっと心なし大きいぐらい。そのサイズならば、二匹か三匹を食べてしまうでしょうが、多く与えすぎると吐き戻しの元なので、大きす� �、与えすぎには注意します。飲み込むだけならだいたい試みてしまうので、飲めるなら安全ということはないです。
あとは、餌を食べた直後は絶対に触らないようにし、そっとしておきましょう。食べた直後にさわったり、低温に触らすと消化不良を起こして吐き戻しをしてしまいます。消化は、餌のサイズにもよりますが、三日から四日、大きいサイズでは一週間弱ぐらいです。だいたい、餌を与えてからどれぐらいで糞をするか把握し、次の餌には、糞をする日の前日か、糞をしたら与えるようにすればよいでしょう。理想的なのは、休日に掃除が出来るように、だいたい休日に糞をするように、水曜日か木曜日あたりに餌を与えることではないかと思います。
新聞紙の場合、新聞紙のすべてを取り除き交換し、ウッドチ� �プやウッドシェイブの場合は、汚れている部分を取り除き、その下にあたる部分を濡れティッシュなどで拭き、チップを均すようにします。
ヘビという生き物は定期的に脱皮をします。全身の皮を、するりと全部脱ぐわけですが、それには、新しい皮膚が皮の下に出来ている必要があります。脱皮の前段階になると、ヘビの多くは餌を食べなくなります。実は結構食べてしまうものなのですが、古い皮膚は伸縮性に乏しいので、この時に大きな餌を飲み込んでしまうと消化不良になったり吐いたりしてしまう危険もあるので、やはり与えない方が無難でしょう。といっても、食べなくなるの方が普通で、餌を幾らやっても食べないという場合は、単純に脱皮前という可能性もあり、そういう時は餌をやっても無駄なので、脱皮する� �でのんびり待ちましょう。
脱皮のプロセスは、簡単に説明すると、皮膚の下に新しい皮膚が出来るところから始まります。色合いがなにやらくすんで来て、目がだんだん濁って来ます。目の濁りと共に全身が白っぽく濁ったような皮を被っているような状態になり、白濁が極まると、その後段々と透き通って行きます。この段階で、新しい皮膚の大方が出来てきますが、完全に透き通ってから二日ぐらいすると、古い皮が完全に切り離され、ヘビはこれを自力で脱いでいきます。
脱皮直前、皮の下には、脱ぐに際し潤滑液の役になるような体液がうっすらと滲むのですが、湿度が低すぎるようだと、これがあっさり乾燥してしまい、皮膚に引っ掛かって脱げなくなってしまいます。幼蛇では特に皮が薄く、脱ぐ前に乾燥してし� �うことが少なくありません。これを脱皮不全と言いますが、WCのヘビにあるような脱皮不全が皮膚病や、内臓器官の疾患から来るものであるケースが少なくないのに対し、コーンの場合は単純に湿度が不足しているだけと考えてよいので、ウェットシェルターを用意するだけで十分に対応出来ます。
水苔を濡らし、ぎゅっと絞ったものを中に入れて置くわけです。脱ぐ前は勿論、もし脱皮不全になった場合も、これを入れておけば自分で中に入り、適度に皮を湿らせて、残りを自分で脱いで呉れるでしょう。注意しなくてはならないのは、水苔をびちゃびちゃの状態にして入れるようなことで、コーンスネークでは滅多にないですが、それでもケース全体が過度に濡れているような状況ではスケールロットと呼ばれるような皮膚病疾� �に罹ってしまうので、何事も適度に、というのが大切です。
脱皮が済むと、ヘビは生理現象として食欲が増進されます。餌付きが悪かった個体も、この段階になれば食べるようになっているかもしれません。
だいたい、以上が一つのプロセスです。成長のさせ方にもよりますが、幼蛇の場合は二十日から三十日に一回は脱皮するような気がします。成長に従い、だんだんこの期間は長くなっていきます。何ヶ月かこうして飼育を続けていると、冬がやって来ます。
最初の冬の到来(十一月)
きっとくる〜というフレーズを書こうと思ったのですが、考えたら単語なら兎も角数フレーズ書くとJASRACに呼ばれるのではないかという事実に気付いたので沈黙な方向で。
そんな訳で冬がやってきます。入手した時期によって此の時期までにどれだけ飼育していたか、期間は異なるでしょうが、冬は日本に住んでいる限り必ず訪れるものです。
自然下ではヘビは冬眠というものをします。冬眠に入ると躰の生理現象は最小限のものとなり、つまり代謝が低下、心拍数も低下します。そして、来るべき春での間、動かないでじっと過ごす訳です。
「ゾウの時間、ネズミの時間」という本によると、どんな生物も、一生の間に心臓が脈打つ回数はだいたい決まっているのだそうです。寿命が短い生き物ほど、心臓は早く� �打ち、寿命が長い生き物ほど、心臓はゆっくり脈打つけれども、その総数は変わらないというものです。
冬眠の時期、ヘビの生理現象は休止状態になり、幼蛇の成長は止まります。心拍数も少なくなります。そして、春になると成長が再開され、心拍数も数を増す訳です。この時、冬に寝かさないで育成を続けるとどうなるかというと、心拍数はその間下がる事はないので、総体的に、前倒しで寿命を早く磨り減らすということになります。どちらにしろ減る事に変わりはないので、磨り減らすという表現は正しくはないかもしれませんが………例えば寿命が七年のヘビがいたとしましょう。此のヘビは、一年間のうち、八ヶ月を普通の状態で生き、残り四ヶ月を眠っていたとします。つまり、一年のうち、三分の二しか活動してい� ��いことになります。心拍が止まる訳ではないにしろ、残りの冬の四ヶ月は、心拍数が通常の四分の一まで減っていたとしましょう。そうなると、此のヘビにとって、冬の四ヶ月は一ヶ月に相当します。つまり、このヘビの心臓は、十二ヶ月の間に、活動している状態で九ヶ月分の心拍数を打つことになります。七年では、六十三ヶ月分です。
どの様に生きたとしても、この心拍数が増える事はない、という事ですから、もしも常に加温し続けて、冬眠させないで飼育した場合、一年で十二ヶ月分の心拍数を使い切ってしまいます。そうなると、このヘビの寿命は五年と三ヶ月で尽きることになります。
此は机上の話でしかありませんが、何処に書いてあったか失念してしまい困っているのですが、これを実験した人がいるそう� ��、それによると、冬眠させないと、ヘビはその分早く死んでしまうようだ、という結論を見たようです。
そう考えると、冬眠させるという事は、長く飼育を続けたいならば、結構大切なのだという事なのかもしれません。
また、この冬眠期間中に、雌は卵胞の元となるものを作るとも言われており、寝かさないと此の生理プロセスが上手く働かないので、正常な卵を作れないことがあるとも言われています。それから、雄の精子は主にこの冬眠期間に作られるという話を昔聞いたような記憶もあります。コーンスネークの場合、寝かさなくても殖えるような事もあるようですが、他の蛇では、寝かさないと受精しない、或いは発生しない無精卵しか産まないのは良くあることです。
寝かすメリットと、寝かさないデメ� ��ットを鑑みると、寝かさないでいる必要性は殆どないように管理人には思えます。ただ、やはり冬眠に際してはそれなりの体力がないと、冬を乗り切れません。幼蛇の冬眠は、やってみると分かるのですが、それなりのコツが必要です。正直なところ、オススメできません。
一年目は寝かさないで、或る程度の大きさまで早めに育ててしまい、その上で安心して寝かす、というスタイルが一番安全で理に適っているのではないでしょうか。管理人も、寝かすのは二年目からで、一年目の冬は、強いて眠らさずに育成し続けてしまうようにしています。
次の冬が来る前に(十一月〜翌年十月)
次の冬まで一年ありますから、育成は気長にやりましょう。ところで、冬というのは、寒くなるということとは別の意味で注意が必要な季節です。どういうことかというと、特に幼蛇の場合に多いのですが、冬になると蛇が脱皮不全になりやすくなるのです。
夏場や秋口の場合、ウェットシェルターを用意しなくても問題なく脱皮していたとしても、冬になるとそれがまま成らず脱皮不全になってしまう。これはどういうことかというと、つまるところ湿度が低下しているということです。
そもそも冬は湿度が下がるという事もありますが、さらに暖房をつけているようだと、湿度はかなり下がります。水入れの水も早く蒸発してしまいます。温室で飼育している場合は、ヒーターの風の当たる場所かファンの先に水を張� ��たバットを用意し、湿度を高めるようにしたり、脱皮前にはウェットシェルターを配置することを忘れないようにしましょう。
コーンスネークに限らず、殆どの蛇が、最初の一年で成体のほぼ半分の長さに達します(ボア・パイソンでは勿論例外はあるのですが、ナミヘビはだいたいそうだと考えてよいのではないかと思います。勿論、成長が遅いナミヘビも、高山種の中にはいるのですが)。人間で言うところの成長期に当たる一年目から二年目のうちでも、特に一年目の成長は体重比で見ると劇的なものになります。此の時期の成長を、初動成長、というそうです。
初動成長は、生後直後が一番劇的で、その後緩やかになっていきます。コーンスネークの場合、成長期は、生後十三ヶ月から十八ヶ月ぐらいまで続くよう� �す。おそらく、自然下で最初の二年で、平均的サイズの80%ぐらいに成長するということなのでしょう。
コーンスネークの幼蛇は、大きな餌を与えると確かにそれを消化して成長出来るのですが、それは内臓部分の話で、骨、特に頭蓋骨は単純に言ってしまえば、どれだけ長く生きたかで成長するようです。早く成長させすぎてしまうと、どうも頭が小さい、胴体が太い微妙な個体になってしまいます。後から追い付くことは追い付くようですが、皮膚が太ってしまうと、後から調節するのも難しいようです。
それから、ケースが小さすぎるのも考えものです。運動不足ではやっぱり太ってしまいます。だいたい、成長したら最低でも底面積が450*300ぐらいのケースは欲しいところです。見栄え良く飼うなら、900*450*450あた� ��がよいのではないでしょうか。もっと狭いケースでも飼えるよ、という意見もあります。それは否定しませんが、四畳半で生活するより、もうちょっと広い部屋で生活したほうが楽しい、という風に管理人などは思うので、広い方がよいのではないかと思います。
綺麗な、というのは飼育者の主観でしかないかもしれませんが、太っていない美しいプロポーションに育てられるかは飼育者の手腕です。太っていても、生きてはいますが………それがよいかどうかは、微妙なところではないでしょうか。太っているのがよいと思うなら、そうするのも自由ではありますが、少なくとも肥満体になると寿命は短くなることは確かではないかと思います。
ところで、ナミヘビやボア、パイソンの仲間は、躰で獲物を絞め殺してから� �み込むという狩りをします。毒蛇は消化液を発達させ毒とし、それを瞬間に確実に注入する仕組みを獲得することで獲物を仕留め道を究めましたが、毒の無いヘビは、筋肉を発達させ、絞殺するという或る意味原始的な手法を選択した訳です。此の様なヘビは、コンストリクターと呼ばれています。管理人は、餌付いている、ピンセットから食べるようになっているヘビの場合、マウスにヘビが噛み付いたら、暫くピンセットで軽くマウスを揺らし、生きているかのように見せかけるようにしています。そうすると、コーンスネークであっても、ぐるりとマウスに躰を巻き付かせ、絞め殺すような動きをするわけです。ちょっとした運動、ということですね。そんなことで本当に運動になるかどうかは分かりませんが、絞める行動すらしな いぐらいだらーとされても飼っていて面白くないと思うので、巻くようにしつけているのです。尤も、ピンクマウスの頃には、巻き付かせても微妙ですし、長さの関係上、巻けないような気もしますが。
ところで、ピンクマウスばかりの餌の頃と、骨が出来はじめたホッパーマウスを与え始めた頃とでは、ヘビの成長ががらりと変わるという印象があります。後者の方が、当然ながらぐんと大きく成りやすい。そういう訳で、出来る限り、ピンクマウスを食べている頃はこまめに餌を与え、早めにホッパーを食べるぐらいのサイズにしてしまうのがよいかと思います。ホッパーを食べる頃には、一週間に一度の餌で良くなっているのではないでしょうか。
とはいえ、常に大きい餌を与える事が正しい、という意味ではあ� �ません。成長を早くさせすぎるのも、やはり肥満と同じぐらい問題だと思います。
管理人は、コーンスネークは、だいたい雌で二年半、雌で三年以上の育成期間を経て成体になるのが自然だろうと思います。
確かに、大きな餌を与えれば、素早く大きくすることは可能ではあります。頭は小さいものの胴体は随分と大きいというやや不格好ではあるものの、長く大きく成長します。手法によっては一年で100cmを越す事も可能であるようです。
パワー・フィーディングとでも言うべきこの手法は、但し、温度や餌のサイズ、シェルターの形状含めて何が禍して吐き戻しになってしまうか分からない危険性と背中合わせにあり、その上、個体にはどうも悪影響しか無いのではないかと思われるので、管理人はあまり好みません� ��
FTO肥満acronyme
基本的に、蛇の胴体と同じか、やや太いぐらいのものを与えるのを基本とし、多少数を増やすことで対応はするものの、蛇が明らかに膨らむぐらいの大きい餌を与えるようにはしない。そして、成長を促したい場合は、そのぐらいの餌を、こまめに与えるようにしています。小さい餌ならば、幼蛇の場合、二日から三日で消化してしまいます。消化し、糞をしたら次の餌を与えるというサイクルを繰り返していれば、吐き戻しの危険もないし、体型的にも(あくまで管理人の主観でですが)美しく育てる事が出来ると思います。長さから見て、二匹三匹食べられそうな場合は、少しずつ数を増やしていってもよいでしょうが、やはりこの場合も与えすぎは吐き戻しの元ですから、 せいぜい二匹までにしたほうが無難だと思います。
管理人は、目安としては、一年で、だいたい70cm〜80cmぐらい。ホッパーか、小さめのマウスMを食べているぐらいに育てるようにしています。
日本の何処に住んでいるかで変わってきますが、六月から七月あたりが、夏の始まりです。この頃の気温上昇には注意しましょう。強引な方法ですが、部屋の空調を効かせつつ、サーモスタットで制御した温室ヒーターで温室内部を暖めてもよいぐらいです。
そうでもしないと、なかなかに温度調節が難しいです。変わり目というのは、昼間は暑く、夜は寒いという環境ですから、それが出来ないならば、天気予報を毎日チェックして、暑くなりそうな日には冷房をつけて、寒い夜には暖房をつけるという風にしましょう。実の� �ころ、毎日空調を付けるようにした場合に一番難しいのが、この季節の変わり目だと言えます。春から夏へ、秋から冬への切り替わりの時に、暑くなりすぎない、或いは寒くなりすぎないように注意が必要です。
最近は温度が上がりすぎた場合に動き出すタイプのサーモスタットも安価に売られていますので、ペルチェ素子を用いて、温室を冷やすという方法もアリかもしれません。何にしろ、密閉された陽の差し込む部屋というのは、外気温より5℃から10℃暑くなるものなので、早め早めの対策が肝要です。
冬化処理・準備段階(十一月)
冬化処理と言いますが、日本の場合は冬が普通に来るので、それに合わせればよいだけです。一年半ほど育成し、おそらく90cm以上にはなっている筈です。ところで、繁殖は三年目からがよいと思います。二年では早すぎます。なので、今回の冬眠は、あくまで寝かす為の練習であると同時に、ヘビに始めての冬眠を体験させるためのものです。
最初の基準温度を28℃として話を進めて行きますが、十月の最後の日に餌を与えたら、十一月からは餌を与えません。水だけを与えるようにしておくと、最初の一週間が過ぎる頃に、一回糞をする筈です。そうしたら、温度を一週間かけて24℃まで下げます。その状態で二週間ほど様子を見ておくと、その間にもう一回ぐらい糞をするかと思います。しなかったら、もう完全に腸の中から出 てるという事なのかもしれません。この段階で、一週間かけて、昼間の温度を21℃、夜間温度を18℃ぐらいまで下げます。
此の糞を抜く作業を怠ると色々と良くないようなので注意しましょう。具体的には、消化管の動きが止まってしまうので、糞が中で劣化してしまい良くないのだと聞きましたが、具体的にそうなった場合、どうなるという事までは分かりません。なんか死んでしまいそうですけども。
冬化処理(十二月〜二月)
十二月に入ったら、一週間かけて温度を10〜12℃まで下げます。夜間は8℃ぐらいになっても問題はありませんが、心持ち10℃ぐらいにする感覚でやっておくと、すごい冷え込んだ日に結局それぐらいになるものなので、10〜12℃を目安にしておけばよいかと思います。
こんな寒くて平気なのだろうかと思われるかもしれませんが、平気ですので気にせず下げましょう。むしろ、なまじ温度が18℃とかあるようでは、代謝が促進されてしまい、無駄に体力を消費させてしまいます。昼間の温度は上限15℃ぐらいと見て置いたほうがよいでしょう。
この時、水入れは躰がすっぽりと入らないような小さいものがよいです。コーンスネークで経験したことも聞いた事もないのですが、水入れに入ったまま、そこで溺れてしまうというこ とが希にあるのだそうです。何となく、そうやって死ぬのは別の要因を抱える別のヘビであるような気がしますが、まぁ、安全牌ということで小さくしてもよいでしょう。管理人はと言えば、元より、小さい水入れを使っているので、冬眠前に水入れを交換したりという事はしません。
此の時期にやることは、水を交換することぐらいでしょう。あとはあまり刺激しないようにしつつ、春の訪れを待ちます。
冬眠明け(三月)
小春日和というのは、秋口の、春の陽気ような日のことを言うのだそうです。三月ぐらいにほっと温かい日があったら、それは春の訪れです。急に起こしてもよいのかもしれませんが、管理人は二週間をかけて起こします。10℃から18℃まで、一日に1℃から2℃ずつ、一週間かけて上げ、その次の日ぐらいに24℃まで引き上げます。コーンスネークの場合、日照時間はあまり意識しません。
管理人の場合、餌をやるのは温度を上げ始めてから二週間目で、最初はファジーマウスあたりから始めます。知り合いのところでは、ががっ、と温度を数日で上げてしまい、一週間するかしないかで餌を与えてしまうそうです。そういう遣り方もアリなので、自分で観察して、蛇がこのほうが良さそうだな、と思う方法でやればよいでしょう。
最初からアダルトでも平気なのかもしれませんが、管理人はやったことがないので、よく分かりません。どんな大きな個体でも、ファジーの一個か二個から始めているような気がします。問題なければ数日したら糞をするので、そうしたら各ヘビのサイズに適合したマウスを食べさせ、普段通りの給餌スタイルへと以降します。カレンダーを見たら、そろそろ四月に成っていることでしょう。
冬眠明けの脱皮(四月)
餌をちゃんとやっていれば、だいたい、起こして二週間から一ヶ月ぐらいで脱皮するようです。しない場合もありますが、あまり深く気にする必要はないです。此の、一ヶ月目から二ヶ月ぐらいが、性成熟を迎えている個体ならば発情の時期になります。雄と雌を合わせれば交尾をするわけですが、この段階で殖やすのはやや早計です。メスで三歳ぐらいになるまでは早いと思うので、しっかりと成長させることに重点を置くべきでしょう。
さて、冬眠が開けたら、あとは別段何か変わったことする必要はもうありません。普段通りのセオリーに従って飼育を続ければよいでしょう。
飼育については、ざっとこんな感じになります。あとはこの繰り返しですね。繰り返しになりますが、注意すべきは夏場の高温による蒸れ� ��、冬場の乾燥です。其処の所だけ気を付けて、あとはセオリー通りの温度帯域を守っていれば、それほど失敗はないかと思います。
飼育環境の方向性
コーンスネークを飼育したい、という風に思って此処を読んでいる方がいるとして、管理人には、その読者が、"どういう風に飼育したい"のかが分からないので、此処では思い付く飼育のスタイルを列挙してみることにします。
キーパー・スタイル、ブリーダー・スタイル、テラリウム・スタイルの三つに大別しましたが、此らを組み合わせて飼育するのもよいでしょう。幾つかの個体はキーパースタイルで飼育し、お気に入りの個体をテラリウムスタイルで飼育する、というのもアリかと思います。
日本語的に表現するならば、キーパー・スタイルは簡易飼育、テラリウム・スタイルは環境展示、或いは行動展示飼育ということになるでしょう。ブリーダー・スタイルは飼育の方式自体はキーパーのそれに近いですが、� ��り繁殖の体制を固めていく上で効率化を図った状態の便宜的な呼び方です。あまり差がないと言えばそうですが、個人的にブリーダーの方は、キーパーの方とやや飼育の方向性がやはり違うと思うので、分けました。微細な差ですが、以下後述していきます。
◇ キーパー・スタイル
簡易飼育とでも言う可き此の飼育方法のメリットは、メンテナンスの利便性と言うよりも、或る程度の数を狭い空間でストック出来る事にあります。テラリウムが或る程度の空間、器材などを要するのに対し、此の方式は最低限の品物で構成されているので、準備をするのに時間を要しません。デメリットは、それ単体では温度管理や湿度維持が出来ない為、何かしら別の保温手段が必要になること、見栄えが詰まらないことこの上ないので、趣味としての発展性に欠けるというところでしょうか。
ただ、一時的に隔離する必要性が生じる事もあるでしょうから、この方式はキーパー、ブリーダーの違いなく誰もが用いるスタンダードであると言えるでしょう。
ケース、床材、水入れ、加えて隠れ家� �なるシェルター。此らをしてワンセットとし、温度維持は別なシステムに頼る方式です。空調、温室、どちらでもよいかと思います。
また、幼蛇の時期は見付けやすさや餌遣りの頻度から考えて、すべてこのキーパー・スタイル、つまり、プラケースで飼育を始めることをお薦めします。テラリウムで飼いたいな、という人は、60cm〜70cmに成ったころにそちらに移すことを考えて、ケースを平行して作っておくとよいでしょう。
◇ テラリウム・スタイル
テラリウム・スタイルのメリットは、見栄えの良さが勿論第一ですが、副次的にテラリウムそれ自体を温室に見立てる事で、それ単体で蛇を飼育することが可能になるように作り上げる事が可能なところが最大の魅力だと思います。それには無論、ガラスで出来ているであろうケースの多面を発泡スチロール板などで保温したり、保温球を使ったり、ファンを設置したりという用意は必要ですが。
自室で、見栄えよくインテリアに仕上げたい、という方にはお薦めな方式です。発泡スチロールなどを貼り付ける方法は、見栄えという意味では悪くなってしまいますが、木製の調度品のように、木製の枠を嵌め込むことで問題は解決出来ます。家具調でやるならば、湿度に強い素材を用い、渋柿染めをす� �か、椿油仕上げにするとよいかと思います。ニスを用いる場合は、或る程度乾燥させ、匂いが無くなるまで置いてから使わないと、中にいるヘビが匂いの刺激で体調を崩したり、餌を食べなくなったりしますので注意が必要です。
◇ ブリーダー・スタイル
どういうものがブリーダー・スタイルかというのは難しいところで、人よりけりでしょう。
何人かのヘビのブリーダーにいろいろとメンテナンスのスタイルを聞いてみたことがありますが、皆様一家言持っておられるようで、そのスタイルは様々。とても類別出来るものではないです。それぞれの方法で、それぞれに成果を出しているのであり、どのスタイルも、それぞれの人々が試行錯誤した結果辿り着いたものであり、どれもが正解と言えるでしょう。
キーパーとブリーダーの差も非常に曖昧なものなので、この辺りは自分がそうだと思えばブリーダーと考えてしまうのでよいような気もします。例えば管理人は自分のことを、殊更ブリーダーだと思ったことはあまりなく、なんとなくキーパ� �かなぁという認識なのですが、ではブリーダーではないのか?と問われれば「ブリーダーな気がしなくもない?」という曖昧なところだったりします。
拒食
コーンスネークの場合、拒食のパターンは、新しい環境に移動したばかりで落ち着かない、というものが多いようです。寄生虫疾患などによる致命的なケースは殆どなく、拒食という表現を使うほどのものは希有ですが、起こる場合は、特に神経質な幼蛇期に拒食をするため、長引くと少々厄介だと言えるでしょう。
中々餌を食べないという個体は、もともと生まれつきやや神経質な個体などがなりやすく、こうした幼蛇は餌付きが悪いとか表現される事があります。とはいえ、こうした個体も環境を整えてやれば食べるようになりますし、こうした個体の子供がが皆、同じように神経質になるかといえば、そんなことはないように思います。
まずは、ケースの端、数センチほどにフィルムヒーターを敷いてみましょう。半� ��とかではなく、数センチだけです。ケース全体が暖かいのではなく、端は暖かく、そちらから暖かな流れがケース全体に生じている状態――温度勾配は生理を刺激するのか、これが刺激になって食べ始めることは結構多いようです。フィルターの真上の地熱は温かくても問題はありませんが、ケースの反対側、空中の温度は28℃を上限とし、調節します。どちらかというと、気温は25-26℃ぐらいと低めにして温度勾配を作るのがよいでしょう。
これでも今一つダメな場合は、隠れる場所を用意してやります。
シェルターを入れてあることは前提として、それでも落ち着かないというケースはままあるようです。そういう場合は、ウッドシェイブをふんわりとケース全体に入れ、潜れるような環境にしてやります。ウッドシェイ� ��というのは、ハムスター用の床材として売られているので、少量でも入手することが可能です。注意点は、袋から出しただけでは木材を裂いた時に発生した木の細かい埃が残っているので、風通しのよいベランダでよくほぐし、埃を飛ばしてから使います。だいたい、2cmから3cmの深さに敷き詰めるとよいでしょう。
ウッドシェイブ以外でも、椰子殻土を程良く湿らせたものなどを敷き詰めるのも効果的で、こうした床材を使うと蛇は自分の住処を地下に掘ってみたり、通路を掘ってみたりするようです。コーンスネークはジムグリのような地面に潜るタイプの蛇でないですが、樹上棲蛇とはやはり異なり、結構地面の下に潜るのを好むようです。
また、希ですが、長らく新聞紙で飼育されていた個体だと、逆にウッドシェイ� �やウッドチップの臭いを嫌うことがあります。そういう理由で拒食した場合は、新聞紙で暫く飼育し、チップを少しずつケースに入れて臭いに慣れさせ、シフトして行けばよいでしょう。
神経質な個体はなかなかピンセットから食べてくれません。そういう場合は、プラスティックの板(タッパーの蓋とかでよいです)の上に、夜寝る前にピンクマウスを置いてやります。この際、シェルターを引っ繰り返したり、掘りかえして個体の様子を見たりしないことが大切です。
ピンセットから直接食べなくとも、食べてくれるなら問題は生じません。そういう個体でも、或る程度の大きさ(30cmぐらい)になれば、だんだんピンセットから直接食べてくれるようになるものなので、気長に待つのがよいでしょう。
何よりも、あ� �りいじったり触ったりせず、そっと落ち着ける環境を用意してやることが大切、というところでしょうか。
吐き戻し
吐き戻しは消化不良によって起こるものですが、その消化不良の原因は、CBが主流であるコーンスネークにあっては、寄生虫や何かの疾患によるものであるケースは希でしょう。となると、吐き戻しの原因は、大きすぎる餌を与えてしまった場合、食べた直後に過度に触ったり、落としてしまった場合、消化中に低い温度に曝された場合、といったところになるでしょう。それから、マウスを溶かし損ねて内部が凍った状態で与えた場合も、吐き戻しをするそうです。
或る程度成長している個体ならば吐き戻しにも耐えられるようになりますが、幼蛇の場合は吐き戻しは致命的になることが少なくありません。此は、胃壁の分厚さがそもそも幼蛇の頃は躰が小さい分だけ薄く、消化液の量も少ないので、吐き戻す際に、消化液と胃壁の粘膜部分を一緒に吐き戻してしまう事が多いからです。吐き戻しされた状態を見た事があるならば分かるかと思いますが、吐き戻された餌は白っぽい粘膜のようなもので包まれたような状態で吐き出される事が多い筈です。
吐き戻しは、急激に蛇の体内の水分を奪います。消化液を再び蓄え、消化管がもとの調子を取り戻すのには、今暫くの時間を要するものです。もし、この時に不用意に餌を再び与えたりすれば、� �べることは食べるのですが、消化液がない状態では消化がままならず、また急速に消化液を作ろうと体内から水分を集めるのでしょう、心不全のようなものを起こして死ぬケースがあるようです。
吐き戻しは、まずはされないように常に気を配り、幼蛇などしそうな個体には工夫することは大前提として、もしも起こってしまった場合は、"何もしない"ということが大切です。
取り敢えず、脱水症状を回避する為に、水入れは飲みやすいように背の低いものに交換する程度のことはしますが、あとはシェルターに入ってじっとしているならば放っておきましょう。言ってはなんですが、此の段階で何か出来るようなことはありません。人間ならば点滴なんなりをすることも出来るかもしれませんが、蛇にそれを遣るには血� ��の位置を熟知した上で、細い針を使わねばならないわけで、そうした治験は聞いたことがありませんから、事実上何か出来ることは無いと言えます。
此の、何もしない期間というのは、非常に辛いものがあるかもしれませんが、そこはそこ、自分がミスをしてしまって吐き戻しさせてしまったわけなので、そこら辺の自分の迂闊さを悔やみつつ後悔の海に浸るとよいのではないでしょうか。………いや、管理人がそうだったとかそういう事ではないですが?
ともかく、最低一週間。出来れば十日間は水以外のものは与えません。三日や四日で何かしたくなってしまうかもしれませんが、何もしてはいけません。
吐き戻した日から、七日間、それも間に七日間。24*7=168時間は確実に放っておきましょう。
もし、此� ��放置期間に耐えられずに死んでしまうものは、この前に何をやったとしても死んでしまうものだと思います。短期間に二度、三度吐き戻しさせたのでもない限り、そういうことはないと思いますが、その場合はそれまでの飼育の仕方が間違っていたということになると思うので、振り返って間違いを是正する必要があるでしょう。
一週間から十日経ったら、一番小さい、Sサイズのピンクマウスを与えます。多少大きい個体でも、Sサイズから始めます。成体の場合は、流石にSではなくてMか、ファジーぐらいでもよいかもしれませんが、その場合は腹部の皮を内膜を残して剥いで、簡単に消化できるようにするようにしたほうがよいかもしれません。管理人は、最初はSサイズ一つがよいと考えていますが。
もしもハッチリング 直後ぐらいの非常に小さい個体で吐き戻しをされてしまった場合は、Sサイズでも大きいかもしれません。そういう場合は、頭部と、両腕を肩胛骨まで、後ろ脚を大腿骨までを切除したピンクマウスを与えます。この場合、非常に劣化が早いので、ピンセットで食べさせることが望ましく、置く場合はテレフォン・カードのような質感のものの上に乗せ、ウッドチップなどが張り付かないようにような注意が必要でしょう(拒食とセットになっている場合、床材に必ずしもペーパーを使えませんよね)。
餌を与えて三日から四日したら、糞をする筈です。量が少ないので、非常に少量でしょうが。おそらく、この段階では少し緩い感じの糞であることでしょう。
糞を確認したら、今度はSサイズを二匹にしてみます。幼蛇の場合� �、二匹にする必要はなく、一匹で十分です。場合によっては、一週間ぐらい掛かる事もあるかもしれませんが、糞を確認出来るまでは次の餌はやらないようにしましょう。
吐き戻しをして、一度餌を食べると、すぐに脱皮に入るかもしれません。そういう場合は、普段よりも脱ぎやすいように、ウェットシェルターを設置するようにしましょう。
だいたい、二度から三度の餌やりを、つまり吐き戻してから三週間から一ヶ月ぐらいしたら、ほぼ回復していると考えてよいかと思います。とはいえ暫くは油断せず、一ヶ月半ぐらいは小さめの餌を与えるようにしたほうが無難かと思いますが。
爬虫類、特に蛇は、哺乳類とは全く異なった消化サイクルを持っているので、一週間から十日、何もしないということが迚も大� �です。意外に、この"何もしない"というのはやってみると難しく、何かミスをしてしまった直後ほど、何かをしてミスを挽回出来ないかと思ってしまうものですが、直後に焦って何をしたとしてもそれは上辺を糊塗する程度のことにしかならないだけでなく、物事を悪化させてしまう場合が大半であるのが世の常です。まずは冷静になり、何かをしようとするよりも前に、自分のミスをしっかりと見据え、現状を把握することが大切かと思います。そして、現在のところ医術に期待出来ない以上、あとは個体の回復能力に任せるしかないわけで、我々に出来るのは、その回復能力を阻害しないこと、出来るならば補助するように努める事ぐらいです。放っておく、というのは、特に神経質な生き物である蛇にあっては、迚も大切なことな ので、実のところ、最初の二日三日は、観察すらしない方がよいかと思いますが、やはり気になるのが人のさがではありましょう。とはいえ、成る可くなら見ない方がよいのだけど、と思いつつ見るようにしておくとよいかと思います。
脱皮不全
脱皮不全にならないようなポイントというのは上で既に書いたかと思いますが、ではいざ脱皮不全になってしまったなら、どうすればよいのか、という話。
脱皮不全にもいろいろありますが、全体の皮が全く脱げずに全身に張り付いたままになってしまった状態、頭から剥がれているのだけど、途中で止まってしまっているもの、逆に躰の方は脱げているけれども、頭、特に目の部分だけが残っているもの、など様々です。
ただ、全身に残っているというパターンは、特に幼蛇の時期に極度の乾燥状態に置いた場合ぐらいで、そうそう起こる事ではないでしょう。WCの蛇の場合、皮の剥離を促す生理が上手く機能せずに全身が脱皮不全に陥ることがありますが、CBの蛇では滅多にありません。
となると、一部に皮が残って しまった場合が大半かと思いますが、此らは、水苔を入れたタッパーウェアなどのウェットシェルターを入れておけば、数日で自分で脱ぐことが多いので、心配はいりません。全身に残っている場合でも、こうしたウェットシェルターを入れておくだけで脱ぐようです。
問題は、目だけに残っている場合と、尻尾の先だけに残るような状況です。ただ、コーンスネークでは滅多に此らのパターンを経験したことがないので、気にする事もないかと思うのですが、一応書いておくと、28℃程度の水を張ったプラケースに蛇を入れて、一時間ほど放っておきます。その上で、皮が残っている部分を、爪ではなく水で濡らした指の腹の部分で擦るようにして剥がしていきます。爪を引っかけるのは最後の手段で、特に目の場合はかなりコツを 要するので、あまりお薦め出来ません。冬場の湿度にさえ気を付けておけば、自分で脱ぐこともあるし、そうでなくてもその次の脱皮で剥がれてしまうので、あまり気にすることもないのですが。
ダニ
ダニは寄生虫としてのダニと、コナダニとしてのダニの二通りがあります。
寄生ダニは、由来はその蛇の生息地になりますが、一つのナミヘビに寄生することの出来るダニは、一般的なナミヘビ全般に寄生することが出来るようです。また、ボア・パイソンのダニもナミヘビに寄生することもあるようで、その逆も然りです。
様々な種類がいますが、此らのダニは見た目が見苦しいなどの理由よりも何よりも、様々な病原体の媒介となる為に、キーパーからは忌避されています。特にWCを個体を飼育するような場合には、ダニの侵入は絶対に阻止しなくてはならないことであり、WCの飼育者にしてみれば、検疫は必要不可欠なものになっています。
犬猫用に販売されているフロントラインなどのダニ落としで此らのダ� ��は一通り落とす事が出来ますが、絶対に蛇に上からスプレーするような事をしてはいけません。すると、大抵の場合死にます。管理人はやったことがないのですが、獣医に連れて行ったところ、上からスプレーされて翌日には死んだんだよね、というような話を聞いたことがあります。どうも、運悪く思い切り肺に吸い込むと死んでしまうような気がするのですが、ともかく蛇に息とめてーとか、そういうことは通じないので、危険なのでやらないほうが良いのではないかと思います。
フロントラインの箱や成分を調べてみれば、そのダニを殺すプロセスは分かると思うので此処では割愛し、どういう風に塗布するかを簡単に書きます。
基本は、検疫用のケースに塗布します。蛇を入れる前に、よく洗ったケースの蓋にまず� �ロントラインを塗布しますが、プラスティックであるので物によっては表面が変色してしまうこともあります。まぁ、検疫の為ですし、強度的に問題が出る訳でもないので、気にしないでおきましょう。新聞紙を敷いて、ベランダなどでやりましょう(べつに室内でやっても問題はないですけれど)。軽く塗布したら、乾かしてから乾拭きをします。
次に、クッキングペーパーを用意し、そこにフロントラインを染み込ませ、プラケースの上口部分を数センチに渡り塗りましょう。ぐるりと。次に、ケースの底に二枚ほどのクッキングペーパーを敷き詰め、そこにフロントラインを塗布します。霧吹きで全体に満遍なく塗布したら、風通しのよい場所で、但し直射日光には当たらないようにしつつ乾いたらケースは仕上がりです。 必ず、塗布したフロントラインのアルコール分が気化してから蛇を入れないと、アルコールが呼吸で体内に取り込まれてあまり宜しくないことになります。体力のある蛇の場合は耐えますから、確実にやりたい場合は、表面がうっすらと濡れた状態のところにヘビを入れたいところです。ただ、弱い個体などはそれだけでかなりダメージを受けてしまう危険性があるので、全身塗布は推奨しかねるところがあります。
此のケースの中に、水入れなどは入れないで、蛇を一昼夜から二昼夜入れておきます。出来れば、ケースを置く場所には新聞紙を敷き、その新聞紙もベランダでフロントラインを全体に塗布して完成させたものにしておくとよいでしょう。多少、風通しがよい場所が望ましいかもしれませんが、乾燥しているなら あまり気にしなくても問題は生じません。
もしもダニが目に見えて蛇に付着している場合、気になるなら、綿棒などにフロントラインを染み込ませ、当該部位周辺に塗布してもよいでしょう。多少、皮膚が荒れますが、脱皮により大抵は治ります。ただし、口や眼球、総排泄口周辺の場合は、注意し、鱗でない柔らかい皮膚の部分には塗布しないうように注意します。
二昼夜経ったら、一端蛇を取りだし、別の熱湯消毒済みのケースに入れて、水を与えます。その間に、ケースの中身のクッキングペーパーなどを廃棄し、洗浄し、再び同じようなセッティングをし、水を飲み終えた蛇を戻し、再び二昼夜ほどそこに入れておきます。これをだいたい一週間ぐらい繰り返したら、初回の検疫は終了です。
初回というのは、 成る可くならば脱皮をするまでは検疫は続行したいからです。そこで、簡易セッティングにした検疫用のケースに入れ、そこで餌を与えて暫く様子を見ます。この時点で躰にダニがついていることはほぼ無いと思いますが、よく観察し、あるようだったら、フロントラインを浸潤させた綿棒を擦り付けて、蛇に塗るようにします。フロントラインが塗布された蛇の皮膚はかさついたようになることが多いのですが、脱皮で治るような気がします。ただ、面積が広いと難しいとか、そういう事は判りません。いずれにせよ、体表面全部に一度に塗りつけるのは、オススメしかねます。
そしていよいよ脱皮前になったら、床材にフロントラインを軽く染み込ませたクッキングペーパーを配し、その上に水苔タッパーを入れて、そこに入る� �うにしてもらいます。目が白くなって、透明になってから蛇のサイズにもよりますが、四日から一週間以内には脱ぐものです。理想的なのは、脱いだ端からケースに触れさせることもなく移動することなのですが、それが叶わないならば、少なくとも脱いだ翌日には移動したいところです。
初回検疫でほぼ落としきっているので、この時点ではダニは居ない筈ですが、もし視認出来るレベルでまだ残っているなら、もう一度最初から繰り返しです。何かしら、手順か遣り方が環境に則していないと考えられるので、少し遣り方を変えてダニを落としてみてください。
綺麗になったら、検疫は終了です。移動する際には、衣服や飼育者の手の綺麗さにも気を付けつつ、飼育ケースへ移動するようにするとよいでしょう。
…� ��……と、此処まで長々と書きましたが、CBのコーンスネークを飼育している場合、こうしたダニ落としの機会なんてのは殆どありません(苦笑)
ただ、WCの蛇を扱っているショップなどで、運悪くダニが蔓延していた場合にはダニがくっついてきてしまう危険性は捨てきれないので、知っておいて損はないかと思います。実際、そういう経験ありましたし………過剰に気にしてしまうのも良くないですが、一端飼育部屋に蔓延するとろくな事にならないので、心には留めておくべきでしょう。。
此の手のダニは、蛇の血液を吸うからか、色合いは赤から黒みの強い紫といった色合いをしているようです。白いダニである場合、寄生ダニではなく、コナダニである公算が高いでしょう。
コナダニは、空気中にその卵が漂っ ています。何でも、南極の氷の中にも卵があったそうです。ダニのいないところなどこの地球上では、積乱雲の中を探そうとありません。マリアナ海溝の奥深くとかならば、無いかも知れませんが。
兎も角、コナダニの侵入は事実上防ぐ事は叶いませんが、かといってコナダニはそれほど怖れる程のものではありません。何故なら、清潔な環境ではコナダニは出ないからです。
土壌がドライな環境でれば、まずコナダニは発生しません。ただ、水苔をべちゃべちゃに濡らしすぎて使いすぎていたり、ウッドチップやウッドシェイブに水を零したまま放置してカビがはえていたり、床材に椰子殻などの土を使っている場合で糞をちゃんと除去していなかったりすると、コナダニが湧いてしまうことになります。見た目にも良くな� ��ことと、糞にダニが触れ、さらに水入れに触れることで、寄生虫の媒介をすることがあります。とはいえ、CBのコーンスネークでは、あまり気にする必要はないかもしれませんが。
ただ、スケール・ロット、と呼ばれる皮膚疾患、これはコーンスネークでは滅多にないのですが、不衛生かつ多湿な環境に放置された場合、皮膚が膿んで出血するような状態になると、此の膿みや血の固まったものを食べるのか、ダニが集まったりするようです。管理人はそんな経験ないので、文献で読んだ限りですが………。
コナダニもフロントラインで殺しきることは可能かもしれません。が、ヘビに噛み付いたりということもないので、発生源を断ってしまえばそれで終わりです。つまり、床材を交換してケースを洗浄すれば、それでよ� ��のです。というか、コナダニが出るような環境は飼育環境として失格なのは間違いないので、薬でどうこうする以前に環境を整備し直すのが優先事項でしょう。
と、ダニに関してはこんな所でしょうか。もっと詳しく知りたい方は、いろいろな本を読んでみてください。
(書こうかどうか考えた結果、書かないことにしたらしい)
(まだ書き終わってないですからねー………)
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